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杉田卓也税理士事務所

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株の取得金額が不明なら?

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こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。

今回のテーマは、『株の取得金額が不明なら?』です。

 

 

 株を売却すると、儲け部分に対して所得税・住民税がかかります。儲けとは、株の売却金額と取得金額を比べて、売却金額の方が大きい場合のその差額分です。

 例えば、株を50,000円で買って、後日80,000円で売れば、30,000円(=80,000円-50,000円)だけ儲けたことになり、これに対して所得税・住民税が課税されることになります。

(正確には証券会社に支払った売却手数料を経費として差引くことになります。)

 

 では、いくらで買ったのかが分からない、不明の場合はどう取り扱うのでしょうか?

 

 最近は特定口座での運用が一般的なので、取得金額が不明というケースは少ないと思いますが、それでも一般口座で運用しているケースも存在します。

また、相続により株を取得した場合には自分が株の購入に関わっていないため、取得金額が分からないということもよくあります。

 いずれにしても一般口座において運用されている場合には、証券会社側が取引報告書を作成してくれませんので、自分で金額を管理していない限り、もともといくらで買ったのか分からなくなってしまった、ということは十分あり得ます。

 

 そんなとき、実務的によく用いられるのが<所得税基本通達38-16>です。

同通達において、「概算取得費」というものが認められており、収入金額の5%を取得費とみなして良いものとされております。

 

※ 概算取得費の根拠条文は、<租税特別措置法第31条の4-長期譲渡所得の概算取得費控除>に土地建物に関する記載はあるものの、株に関してはどこにも記載がありません。

不動産に概算取得費を認め、株には認めない理由がないことから、実務上の取扱いとして<所得税基本通達38-16>にて株に対する概算所得費の適用を認めています。

また、本件とは関係ない話ですが、減価償却済みの資産のように譲渡原価が売却金額の5%を下回ってしまう場合においても、概算取得費5%により所得計算できるものとされています。

納税者にとって有利な金額を選択できるわけですね。

 

 では、先ほどの例に当てはめてみます。

売却金額は80,000円、取得金額は不明なので、概算取得費5%とすれば、取得金額を4,000円(=80,000円×5%)とみなし、所得76,000円(=80,000円-4,000円)に対して所得税・住民税が課税されることになります。

 

 この概算取得の制度は、我々税理士のような税金を計算する側にとっては大変便利なルールですが、納税者さんにとっては非常にイマイチなものです。

 

 つまり、概算取得はたったの5%しか認められませんので、差額の95%は儲けとされ、結果として売却金額のほとんどの部分に税金がかけられることになります。

 取得金額が分からない事情にもよりますが、本当はそれなりに取得金額があったであろう株式にもかかわらず、売ったらその収入金額のほとんどに税金がかけられるのは納得いかないものですよね。

 

 なんとかならないものか、とお悩みの方に有益な情報があります。

 

 国税庁において「上場株式等の取得価額の確認方法」というフローチャートを用意しており、取得金額が不明な場合に有効に使えます。

具体的には、以下の区分に応じて取得金額を追いかけていきます。

 

① 証券会社に株の購入情報が残っている場合

 証券会社には、顧客勘定元帳というデータを10年間保存しなくてはならない義務があります。

つまり、株の購入時期がそう遠くない昔であれば、取引のあった証券会社に問い合わせれば取得金額又は取得時期および取得株式数が判明する可能性があります。

 また、過去10年以上前のデータについても証券会社において任意に保存している場合もあります。

 

② 本人の手控え(メモや通帳記録等)が残っている場合

 第三者が発行した公式書類でなくても、取得金額が判明すれば採用の余地があります。特に相続により株式を取得した場合、実際に株を購入した被相続人が当時いくらで購入したのかを突き止める必要があります。

 例えば被相続人が何らかのメモを残しており、そこに銘柄、取得株式数、取得単価が記されていれば、取得金額を把握することができます。

少なくとも取得時期が判明すれば、当時の終値を調べれば取得金額は計算できるでしょう。

過去の終値データはインターネットでも容易に検索できますし(ヤフーファイナンス等)、図書館で過去の日経新聞を検索すれば終値を調べることができます。

(組織再編を繰り返している会社の終値データについてはインターネット検索ではたどり着かないことがあります。) 

 

 また、証券会社によっては電話で過去の終値データを検索してくれる場合もあります。

 いずれにしても、取得金額の妥当性を証明することができれば、第三者による公式書類でなくても認められる可能性は十分にあります。

 

③ 信託銀行等が発行する株式異動証明書において名義書換日が判明する場合

 上場会社は信託銀行等の証券代行会社に名義書換業務を委託していることが一般的です。

したがって、信託銀行等に株式異動証明書の発行を依頼し、この証明書上の名義書換日から株の取得時期を把握することで、その時期の相場を基に取得金額を計算することができます。

(証券代行会社にもよりますが、株式異動証明書の発行には1~2ヶ月程度かかります。また申請の際には相続による取得の場合、戸籍謄本が必要となります。)

 この方法による場合の注意点としては、ある程度取得時期が古いもの(株券電子化によって「ほふり」における電子管理が導入される前)である際には、購入による名義書換日が株式異動証明書に記載されないケースがあります。

 

 

 上記いずれかの方法によって取得金額を把握することができれば、その取得金額をもって所得を計算し、適正な儲けに対する課税に抑えることができます。

取得金額が分からないときは、簡単にあきらめずに、なんとかして取得金額を突き止めてみましょう。

 

 売却金額の95%に対して税金を払うなんて、こんなバカげた話はありません。

税務署を納得させるだけの根拠を用意することができれば、無駄な税金を支払わなくて済みますよ。

 

 

 横浜の税理士 杉田卓也

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