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杉田卓也税理士事務所

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小規模共済は絶対に入っておくべき?

※ 以下掲載記事に関するメール等でのご相談はお受けしておりません。ご了承ください。

 

こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。

今回のテーマは、『小規模共済は絶対に入っておくべき?』です。

 

 

 税理士がよく勧める節税策として、小規模共済への加入があります。

これは、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する小規模企業共済制度と呼ばれる保険であり、税制上のメリットが魅力です。

 例えば、個人事業主は自分で自分に退職金を支給することはできません。

一方、同じ経営者でも会社組織であれば、会社から退職金を支給することができます。退職金を支給すると、支払側の会社では損金となり節税ができますし、受取側の個人では所得税を少なく抑えることができます。退職金は、老後の生活において重要な資金であることから、多額の税金がかかって手取りが大きく減ってしまうことがないように、手当がされているのです。

 

 つまり、退職金の支給ができるかできないかは、税金面で、大きな違いを生みます。

そこで、退職金を支給できない個人事業主を助ける制度が、小規模共済なのです。

 

 小規模共済に加入して掛金を支払い続け、いつか事業を辞めるときがきたら、退職金を受け取ることができます。支払った掛金は、所得控除という形で経費になり節税ができますし、受け取る退職金は、所得税が少なく手取りをしっかり確保できます。

したがって、上記の会社組織と同等の効果を得ることできるワケです。

 

 

 それでは、漠然とメリットがあることはお分かりいただけたかと思いますので、具体的にどれほどの効果があるのか、以下に検証してみます。

 

 CASE 1

 イ 課税所得1,000万円

 ロ 小規模共済加入なし

 

 

① 所得税:年間1,801,000円

 -所得税額計算(復興特別所得税含)-

 (10,000,000円×33%-1,536,000円)×1.021=1,801,000円(所得税最高税率:33%

 

② 住民税:年間1,005,000円(妻の負担額はゼロ

 -住民税額計算(均等割・調整控除無視)-

 (10,000,000円+50,000円)×10%=1,005,000円(住民税率:10%

 

 

③ 所得税住民税合計:年間2,806,000円

 (=①+②)

 

 

 続いて、CASE2です。

小規模共済に加入し、月額3万円(年間36万円)の掛金を支払うこととします。

 

 

 CASE 2

 イ 課税所得1,000万円(小規模企業共済等掛金控除前)

 ロ 小規模共済掛金納付:月額3万円(年間36万円)

 

 

① 所得税:年間1,679,700円

 -課税所得-

  10,000,000円-360,000=9,640,000円

 -所得税額計算(復興特別所得税含)-

 (9,640,000円×33%-1,536,000円)×1.021=1,679,700円(所得税最高税率:33%

 

② 住民税:年間969,000円(妻の負担額はゼロ

 -課税所得-

  10,000,000円+50,000円-360,000=9,690,000円

 -住民税額計算(均等割・調整控除無視)-

  9,690,000×10%=969,000円(住民税率:10%

 

 

③ 所得税住民税合計:年間2,648,700円

 (=①+②)

 

 

 

CASE1とCASE2を比較すると、CASE2の方が年間157,300円の節税ができることになります。

例えば、加入から35年間後に退職金を受け取るとすれば、35年間で5,505,500円の節税となります。

(35年間もの期間にわたって所得が不変というのは、あまり現実的ではありませんが。)

 

 

 

 続いて、退職金受取り時の説明に移ります。

掛金月額3万円にて35年間納付すると、解約時の受取金額は約15,152,000円となります。

(機構側での運用益が上乗せされていますが、この運用益には税金がかかりません。)

 

 そして、これを退職金として受け取れば税金はゼロです。

 

 冒頭に記載のとおり、退職金に対しては税制上の優遇措置があります。

具体的には、退職金額から退職所得控除というみなし経費(20年間は各40万円、20年を超える期間は各70万円)をマイナスし、残額の2分の1に対して税率をかけることとなります。

(しかも、他所得とは分離して累進税率により課税しますので、税負担額が少なくなります。)

 

 35年間納付した場合には、

退職所得控除額=18,500,000円(=400,000円×20年+700,000円×15年)

となり、退職金支給額を超えるため、結果として税金はゼロとなるワケです。

 

 

 以上をまとめれば、毎月3万円の掛金納付を35年間続けると、納付額合計は12,600,000円、これによる節税額が35年間で5,505,500円、退職金受取額が15,152,000円(税金なし)となります。

 

 つまり、実質負担額7,094,500円(=納付額12,600,000円-節税額5,505,500円)に対して、リターンが15,152,000円ですから、返戻率は214%(15,152,000円÷7,094,500円)と計算できます。

 

 実に2倍以上のリターンが期待できるのです。

 

 

 いかに小規模共済がお得な制度であるか、お分かりいただけたでしょうか?

 

 

 こう説明すると、良いこと尽くしのように見えますが、当然ながらデメリットも存在します。

 

 それは、「掛金納付月数が240ヶ月(20年)未満」で「中途解約」した場合には元本割れしてしまう、という点です。(解約返戻金:掛金のおよそ8割)

※廃業の場合は共済金Aの支給対象となりますので、期間に関わらず元本棄損はありません。

また、65歳以上で180か月(15年)以上掛金を払い込んでいる場合には、共済金B(老齢給付)の支給対象となりますので、こちらも元本棄損はありません。

 

 節税額や返戻額の増加を期待するあまり、資金繰りを度外視した納付スケジュールを組んでしまうと、肝心な事業資金がショートしてしまうことがあり得ます。

結果的に積み立てた小規模共済契約を中途解約しなくてはならない状況になれば、元本割れによる損失を被ってしまうのです。

 

 

 そうならないように、加入前の段階で綿密なシミュレーションをしておくことが望ましいでしょう。

月額の掛金は1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択でき、契約後の増額・減額も可能です。

(かつては、掛金の減額には事業経営が著しく悪化しているなどの理由がある場合に限られていましたが、平成27年度改正により大幅に緩和され、平成28年4月1日以降は自由に金額変更できるようになりました。)

 

 また、65歳未満の加入者が任意解約して解約手当金を受領する場合には、この解約手当金に対して、一時所得として総合課税が行われるということも注意点です。

すなわち、退職所得とは認められないことになってしまうのです。

当然ながら退職所得に認められる退職所得控除や分離累進課税のうまみを享受することができないため、節税メリットが大きく失われてしまいます。

(なお、一時所得に該当した場合の税金は、(解約手当金-払込済掛金額-500,000円)÷2×税率によって計算されます。)

 

 想定外の解約に関しては、デメリットが多々あるということですね。

 

 

 最後になりますが、小規模共済に加入していれば、積立金額の範囲内で借入をすることができる共済契約者貸付制度も存在します。

(貸付制度につきましても、平成27年度改正により大幅に緩和されました。従前までは1,000万円を貸付限度額としておりましたが、平成28年4月1日以降は2,000万円に倍増されています。)

通常の銀行融資に比べて、素早く融資実行できる点がメリットです。

 

 

 無理なく上手に使えば、小規模共済への加入は事業者の大きな助けになることでしょう。

未加入の方は一度検討してみてください。

 

 

 横浜の税理士 杉田卓也

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