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杉田卓也税理士事務所

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損益分岐点を計算すると売上目標が見える?

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こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。

今回のテーマは、『損益分岐点を計算すると売上目標が見える?』です。

 

 

 事業経営をする上で、明確な売上目標をたてることは重要です。ハッキリとした目標を設定できていれば、その目標を達成するために必要なプロセスを逆算し、何に時間・労力・財を投ずるべきか判断しやすくなります。

それでは、明確な売上目標はどう見つければ良いのでしょうか? 

業種や事業規模、自社の個別事情などに応じて、適切な売上目標は様々であり、一律~円と決めることは不可能です。根拠のない売上目標を無理やり設定しても役には立たないでしょう。

 

 そこでおススメしたいのが、損益分岐点を計算してみることです。

損益分岐点の考え方は経済学の基礎知識ですが、現場たたき上げの社長さんや個人事業主さんからすれば、経営の現場では役立たない机上の空論というレッテルを貼られているかもしれません。

しかし、損益分岐点の考え方は、自社のビジネスモデル・損益構造を数値化し可視化するための基本ツールだと言えます。具体的にどう有効であるのか、以下にご紹介していきます。

 

 

 損益分岐点とは、簡単に言えば、儲かってもいない・損もしていないトントンの状態を指します。(その状態の売上高を損益分岐点売上高と呼びます。)

つまり、

① 年間売上高 > 損益分岐点売上高 → 儲かっている

② 年間売上高 = 損益分岐点売上高 → トントン

③ 年間売上高 < 損益分岐点売上高 → 損している

ということです。

 

 当然のことながら、事業を経営することで利潤を出さなければなりませんので、年間売上高が損益分岐点売上高を上回る必要があります。(上記①の状況)

では、その損益分岐点売上高はどうやって計算するのでしょうか?

 

算式は、以下のとおり非常にシンプルです

 

 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率

 

つまり、<固定費※1><限界利益率※2>が分かれば簡単に計算できます。

 

 

<※1 固定費とは>

 固定費とは、売上の増減に関わらず発生するコストを指します。

具体的には、人件費や家賃・リース料・設備費などがあげられます。

 

 反対に、売上の増減に比例して発生するコストを変動費と呼びます。

具体的には、材料費などの仕入コストがあげられます。

 

(現実的には、売上の拡大に伴ってさらに人手が必要になったり、追加の設備費がかかったりすることが想定できますので、人件費や設備費を100%固定費に振り分けることが相当でない場合もあります。その場合には、一部を変動費に振り分ける等柔軟に対応すれば、より計算精度が上がります。)

 

 コストを変動費と固定費に振り分けることが、損益分岐点売上高を計算するためのファーストステップです。

過年度の実績値を用いて計算するならば、まず変動費を集計し、年間総コストから変動費をマイナスした残額を固定費とするのが簡単でしょう。

(損益構造を明確にするためには、めったに発生しないイレギュラーなコストは最初から除外してしまっても良いかもしれません。)

 

 

<※2 限界利益率とは>

 限界利益率=限界利益÷売上高 により計算します。

 (限界利益=売上高-変動費)

例えば、1万円売上げるために、材料費が2千円かかるとすれば、

限界利益率=(1万円-2千円)÷1万円=0.8

と計算できます。

 

 

 

 固定費と限界利益率がわかったところで、実際に損益分岐点売上高を計算してみます。

例えば、固定費=2,000万円 限界利益率=0.8

であるならば、

損益分岐点売上高=2,000万円÷0.8=2,500万円

と計算できます。

 

 ちなみに、なぜ損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率で計算できるのかを説明しておきます。(非常に簡単なことなので、公式を暗記するという無意味なことはしないで下さい。)

例えば売上高をα、変動費を0.2αとします。(先ほどの例のような、1万円売上げるために、材料費が2千円かかるケースを想定します。つまり、限界利益率は0.8です。

この時点の儲けはα-0.2α=0.8αとなり、ここからさらに人件費や家賃といった固定費(先ほどの例にように、2,000万円と仮定)を支払うことになります。

損益分岐点というのは、冒頭説明のとおり、収支トントンの状態を指しますので、算式で表現すれば、0.8α-2,000万円=0の状態です。

したがって、この状態を満たすαの数値を計算すれば損益分岐点売上高が判明します。

0.8α=2,000万円ですので、α=2,000万円÷0.8=2,500万円と計算できます。

以上のことから、損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率によって計算できることが説明できたかと思います。

 

 

 本題に戻ります。損益分岐点売上高:2,500万円ということは、売上が最低でも2,500万ないと赤字になってしまうということです。

逆に言えば、売上が2,500万円を突破すれば、そこからは利潤が積みあがっていくことになります。

というのは、売上2,500万円の時点で固定費はすでにカバーできていますので、そこから先は変動費のみの負担となるからです。

 

 洋服屋さんで、2着目以降30%OFFという売り方を目にしたことがあるでしょう。あの売り方は、まさに損益分岐点の考え方を取り入れているものです。

1着目の定価売上で固定費をカバーしてしまえば、2着目以降は割引価格で売っても、変動費を超える部分がすべて利益となります。

買う側の消費者は、割引によってお得感を感じ、購買意欲を刺激されるでしょう。

売れない状態では赤字ですが、多少割引しても、まとめて売れてしまえば利潤を確保することができるのです。

 

 

 変動費が少ない、つまり限界利益率の高い業種に関しては、損益分岐点売上高を突破した先は、ハイペースで利潤が積みあがることになります。

逆に、変動費が多い、つまり限界利益率の低い業種に関しては、利潤の積みあがるペースが緩やかになりますので、その分売上規模を確保することが求められます。(いわゆる、薄利多売の業態)

 

 

 

 それでは、損益分岐点が分かったところで、具体的な売上目標について考えてみます。

例えば、自分で会社を立ち上げたオーナー社長が、会社から役員報酬として年収1,000万円を確保しようと思ったら、年間売上はどの程度必要でしょうか?

 

年間売上高:α 変動費:0.2α 固定費:2,000万円(役員報酬除く)であるならば、

α-0.2α-2,000万円=1,000万円

と試算できます。

0.8α=3,000万円ですので、α=3,750万円と算出できます。

 

 つまり、会社の年間売上高は最低3,750万円は必要だということです。

 

 

 あくまでも理屈上の計算ですので、現実と相違する部分もあるでしょうが、ハッキリとした売上ビジョンを持つことで見えてくるものがあります。

単価×販売数量=売上ですので、業界の単価相場および目標売上を設定すれば、逆算して目標販売数量を計算することもできます。

逆に、販売数量の目安を先に設定し、目標売上÷販売数量を計算することによって、単位当たりの価格設定を検討することもできるでしょう。

(計算結果が業界の単価相場よりも高値になるとすれば、それだけの付加価値がある製品・サービスでなければ当然売れませんので、付加価値を生み出すためのアイデアが求められます。)

 

 いずれにしても、明確な目標を数値化・可視化できれば、その不足分をどうやって確保するのか、具体的な方策・ヒントが見えてくるかもしれません。

 

 

 横浜の税理士 杉田卓也

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