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杉田卓也税理士事務所

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生前贈与のハズが税務調査で否認?

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こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。

今回のテーマは、『生前贈与のハズが税務調査で否認?』です。

 

 

 将来の相続税対策や息子・娘の家計の助けになればという想いから、生前贈与をするケースがあります。年間110万円以下の贈与であれば、贈与税はかかりません。

税金の計算上、110万円の基礎控除が認められていますので、この基礎控除の範囲内で毎年計画的に贈与している方もいることでしょう。110万円という金額自体は、節税の観点からは少額といえますが、それでも30年間続ければ3,300万円にもなります。

 

 今回ご紹介するのは、長い時間をかけて築き上げた生前贈与が、税務調査で否認されてしまうかもしれない(!?)という不測事態への対策法です。

 

 

 まず、税務調査で生前贈与が否認される、とはどういう状況なのか具体例を交えて説明します。

 

・Aさんは未成年の娘の将来のために毎年110万円ずつ生前贈与することにしました。

・娘名義の預金口座を開設し、毎年110万円ずつ、30年間かけて3,300万円の振込みを完了しました。(亡くなる5年前に完了。)

・口座開設当時、娘がまだ未成年だったこともあり、本人には知らせずにコツコツ振込を実行していました。

・Aさんが亡くなり、娘は遺品の中から自分名義の預金通帳を発見します。コツコツ振込をしてくれていたことを知り、涙を流しました。

・葬儀が終わり、一段落したところで相続人は遺産の分割および相続税の確定申告・納税を済ませました。(娘への生前贈与分については、あくまでも生前贈与なので相続財産には含めませんでした。)

・申告後しばらく経って税務署から税務調査に入るとの連絡が来ました。

・調査の結果、調査官から「娘さん名義の銀行口座にある3,300万円は、Aさんの名義預金に該当しますから、相続税の課税対象になります。」と告げられてしまいました。

 

 

 そんなことあり得るの(!?)と驚く方もいるかもしれませんが、上記のような事態は、相続税の税務調査では珍しい光景ではありません。

預金口座の名義人が娘になっているから大丈夫、という単純な話ではないのです。

 

 

 本ケースの問題点は、贈与の事実を受贈者である娘が知らなかったことです。

 

 贈与という行為の定義は、民法に規定されています。(税法には規定がありませんので、民法に準拠する形をとっています。)

<民法第549条>によれば、「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」とされています。

 

つまり、贈与する側と贈与される側の双方の合意があってはじめて、贈与は成立するということがポイントになります。

 

本ケースにおいては、

①娘は生前贈与の事実を知らなかった。

②預金通帳や印鑑は被相続人が管理・保管しており、贈与金額はそっくりそのまま口座内に残っていた。

③その他生前贈与の成立を証明できる書面が何もなかった。

という状況であり、贈与が成立していたとは認められないと言われてしまえば、反論のしようがないのです。

 

 

 そんな非常事態を生まないために、上記ケースの逆の状態を作っておくことが肝要です。

つまり、

①贈与者と受贈者の双方が、贈与について認知・了承していること。

②預金通帳や印鑑は受贈者が自分で管理・保管していること。

③念のため、贈与契約書を作成したり、贈与税の確定申告をしておくこと。

という状況を作っておくことが無難と考えられます。

 

 

 もう少し補足しておきます。

①と③は同じことなので、書面を作っておくことで解決するでしょう。

通常は家族間で契約書を作成するなどということはないものですが、作成しておけばいざというときに大きな助けになりますし、作成自体難しいものではありません。

インターネットを検索すれば、贈与契約書のサンプルはいくらでも出てきます。特段定められた形式があるわけではなく、贈与者・受贈者の氏名および住所、贈与金額、日付を漏れなく記載し、押印しておけば良いだけです。(氏名や日付は自署が望ましいと思います。)

もし、受贈者が未成年であれば、親権者の氏名・住所・押印も必要です。

 贈与税の確定申告は、基礎控除110万円以下であれば義務はありませんが、納税ゼロの申告書を提出することは自由です。契約書の作成とともに、ダメ押しで申告もしておくという手もあるでしょう。

 

 ②については、受贈者が贈与金を自由に使える状況にあることが、贈与の事実の裏付けになるということです。

ちなみに、よく使う銀行口座に入金しておいた方が、全く使わない銀行口座にそっくりそのまま残っているよりも、実際の費消実績が担保できるというメリットがあります。

(ただし、受贈者が無駄遣いしてしまうかもしれないといった別の問題が発生するかもしれませんが、、、。それも含めて、もうあげたお金だからと割り切ることも一つかと思います。)

贈与金を無理に使わなければいけないということではありませんので、誤解のないようにお願いします。そっくりそのまま普段使わない預金口座に残っていたとしても、贈与が認められないということではありませんので、その場合にも贈与事実の相互了解と通帳・印鑑の自己管理は徹底しておくべきです。

 

 

 ほんのひと手間を惜しんだことで、将来余分な相続税が発生するなどという認めがたい事態は避けなくてはなりません。くれぐれもお気を付けください。

 

 

 横浜の税理士 杉田卓也

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