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杉田卓也税理士事務所
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こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。
今回のテーマは、『2020年からスタートするサラリーマン増税とは?』です。
平成30年度税制改正法である「所得税法等の一部を改正する法律案」及び「地方税法等の一部を改正する法律案」が賛成多数により原案通り可決され、両改正法が年度内に成立しました。
同改正の中のいわゆる「サラリーマン増税」については、世間でも大きく騒がれた目玉改正の一つです。
2020年1月1日からスタート予定です。今一度その内容と影響について知識を整理しておきましょう。
まず、増税の対象となるのはサラリーマンの中でも年収850万円超の人です。この年収850万円について、当初は年収800万円超とする方向で議論が進められていました。しかし、公明党内で反対意見が相次いだため、与党税制改正協議会にて再調整し、850万円超に引き上げることで決着しました。
(年収800万円は×で、年収850万円は○という落としどころが妥当なのかどうか、我々民間人にはピンとこないものがありますが、、、。)
ただし、年収850万円超であっても、子育て世帯(※1)および介護世帯(※2)に対しては増税すべきではないとの判断から除外されることとなっております。
(※1)子育て世帯 → 22歳以下の扶養親族が同一生計内にいる人
(※2)介護世帯 → 特別障害者控除の対象となる扶養親族や配偶者が同一生計内にいる人
つまり、子育て世帯・介護世帯以外の年収850万円超サラリーマンは2020年1月1日以降増税されることになるわけです。
稀に中小企業のオーナー社長さんの中に「俺はサラリーマンじゃないから関係ないな~良かった良かった!」と胸を撫で下ろしている方がいらっしゃいますが、それは間違いですので気をつけて下さい。
ここでいうサラリーマンとは給与所得者、つまり会社から給料を受給している人を指します。会社から給料を受給しているという点では、立場の違いこそあれオーナー社長も普通の会社員も同じ給与所得者に該当します。
さて、ここでサラリーマンの税金がどう計算されるのか、改めて確認しておきたいと思います。通常、サラリーマンは勤務先にて年末調整をしてもらうことによって年間の税金が確定しますので、特別な事情がない限り自分で確定申告をすることはありません。
(特別な事情とは、医療費が多額に発生した・株の損失を繰越す必要がある・サイドビジネスとして不動産所得がある等、年末調整だけでは完結しないケースを指します。)
そして、この年末調整という作業は会社側が実施しますので、社員側は自分で計算することなく税額が確定することとなり、自分自身の税金がどのように計算されているのか意識しない人が少なくありません。
そこで、世間を騒がせたサラリーマン増税に注目するとともに、サラリーマンの税金がどう計算されているのか再確認しておきましょう。
サラリーマンの給料は、毎月の額面金額から税金等が差し引かれ、手取り金額が決定します。これを算式で表すと以下のとおりです。
手取金額=額面金額+通勤手当-税金-社会保険料-雇用保険料
(額面金額には残業代などの諸手当を含みます。)
年間の税金を確定させるためには、まず上記算式の額面金額の年間分を集計します。この集計額がいわゆる年収と呼ばれ、税金のかかる対象となります。
なお、通勤手当は会社に通うための実費負担であり、課税対象とするのは馴染まないものとして非課税とされています。
年収が確定すると、これにいきなり税金をかけるわけではなく、ここから給与所得控除という名称のみなし経費をマイナスして「所得」を把握します。
サラリーマンの税金に関わらず、税金の計算上はこの「所得」を把握することが重要です。
商売をイメージすれば、売上に対して仕入や人件費のようなコストがかかります。税金は売上に対してかけるものではなく、コストを差し引いた儲けに対してかけるものです。
(つまり、売上よりもコストの方が多くなってしまった赤字のケースには、所得ゼロとして税金をかけないわけです。)
ここでいう儲けこそが税金計算上は、「所得」と表現されるものです。
そしてサラリーマンの「所得」は、年収-給与所得控除により計算されます。
通常サラリーマンには自己負担経費はほぼ存在しませんが、税金計算上のみなし経費として給与所得控除を認めています。
(正確には特定支出控除という実費を経費とする制度も設けられていますが、実費経費がある程度多額でないと効力のない規定であり、ほとんど使われていないのが実情です。実際のところサラリーマンが自己負担する経費というと、スーツ代・靴代・カバン代等考えられますが、その程度にとどまるケースがほとんどでしょう。)
給与所得控除額は、以下表に当てはめて計算します。(現行)
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
1,800,000円以下 | 収入金額×40% | |
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
例えば、年収900万円の場合、
給与所得控除額=9,000,000円×10%+1,200,000円=2,100,000円と計算できます。
したがって、
所得=9,000,000円-2,100,000円=6,900,000円
となります。
上記計算からわかるように、例えば年収900万円の人であれば、給与所得控除により課税対象が200万円以上圧縮されます。
この給与所得控除の大きさがサラリーマンに対する過度な税制優遇だとして検討対象となり、平成30年度税制改正によって縮小されることとなったわけです。
そして、議論の末2020年1月1日以降の給与所得控除額は、以下となりました。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 | |
1,625,000円以下 | 550,000円 | |
1,625,000円超 | 1,800,000円以下 | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,000円超 | 8,500,000円以下 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超 | 1,950,000円(上限) |
年収850万円超に関して言えば、これまで2,200,000円だったものが1,950,000円まで引き下げられているのが確認できます。
税金計算の流れに戻りますが、給与所得控除を計算して所得を把握した後、そこから各種所得控除をマイナスして、課税所得金額を計算します。この課税所得金額に税率をかけて、税額が確定します。
なお、各種所得控除とは以下を代表例とするものです。
(控除額は所得税と住民税で異なるケースがありますが、ここでは所得税について記載します。)
・社会保険料控除 → 毎月給料から天引きされる厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料など
・生命保険料控除 → 自分自身で負担した保険料のうち一定額(最高12万円)
・配偶者控除 → 妻又は夫を扶養している場合に38万円
・扶養控除 → 親族を扶養している場合に一人当たり38万円(年齢その他要件により増額)
・基礎控除 → 一律38万円(2020年以降は48万円に増額)
※ 給与所得控除額の計算表を新旧比較してみると、最低額で65万円だったものが55万円に変更されており、10万円減少しております。
2020年以降はこの10万円の減少をカバーすべく、上記基礎控除が10万円増額されています。つまり、年収850万円以下のサラリーマンの税負担額は変わらないこととなります。
それでは年収900万円の人を例にして、年間税額がどの程度なのか試算してみましょう。さらに、2020年以降の増税額も試算してみることにします。
(復興特別所得税・住民税均等割は省略します。)
CASE1(現行)
イ 夫:年収900万円
ロ 扶養家族:妻
ハ 社会保険料:1,000,000円
① 所得税:年間600,500円(計算の詳細は以下参照。)
-給与所得-
額面9,000,000円-給与所得控除2,100,000=6,900,000円
-所得控除項目-
社会保険料1,000,000円+配偶者控除380,000円+基礎控除380,000円=1,760,000円
-課税所得-
6,900,000円-1,760,000円=5,140,000円
-所得税額-
5,140,000円×20%-427,500円=600,500円(所得税最高税率:20%)
② 住民税:年間521,500円(計算の詳細は以下参照。)
-所得控除項目-
社会保険料1,000,000円+配偶者控除330,000円+基礎控除330,000円=1,660,000円
-課税所得-
6,900,000円-1,660,000円=5,240,000円
-住民税額-
5,240,000円×10%-2,500円=521,500円(住民税率:10% 調整控除2,500円)
③ 所得税・住民税の年額:1,122,000円
(=①+②)
年収900万円の人で年間税額は110万円を超える試算結果となりました。実際に計算してみると結構な額を納めているなと感じるのではないでしょうか。
続いて、2020年以降の場合です。
CASE 2(2020年~)
イ 夫:年収900万円
ロ 扶養家族:妻
ハ 社会保険料:1,000,000円
① 所得税:年間610,500円(計算の詳細は以下参照。)
-給与所得-
額面9,000,000円-給与所得控除1,950,000=7,050,000円
-所得控除項目-
社会保険料1,000,000円+配偶者控除380,000円+基礎控除480,000円=1,860,000円
-課税所得-
7,050,000円-1,860,000円=5,190,000円
-所得税額-
5,190,000円×20%-427,500円=610,500円(所得税最高税率:20%)
② 住民税:年間526,500円(計算の詳細は以下参照。)
-所得控除項目-
社会保険料1,000,000円+配偶者控除330,000円+基礎控除430,000円=1,760,000円
-課税所得-
7,050,000円-1,760,000円=5,290,000円
-住民税額-
5,290,000円×10%-2,500円=526,500円(住民税率:10% 調整控除2,500円)
③ 所得税・住民税の年額:1,137,000円
(=①+②)
年収900万円の人で、現行の年間税額よりも15,000円の増税となりました。(1,122,000円→1,137,000円へ増額)
年収900万円の人が年間15,000円の増税を負担と感じるのか否か、そこには個々人の解釈の差が生ずるでしょうが、個人的には騒ぐほどの額でもないように思えます。
(所得税の増税よりも社会保険料の負担増の方がよほどインパクト大でしょう。)
なお、合計所得金額が2,500万円超の場合には、給与所得控除額の縮減に加えて基礎控除の適用ができなくなります。
例えば所得4,000万円超の場合には所得税・住民税あわせて最高55%の税率が適用されますので、増税による負担額は346,500円にもなります。ここまでくると、正直なところ負担感を覚えるのではないでしょうか。
所得税の課税には超過累進税率という仕組みが採用されており、所得が大きくなればなるほど税負担が重くなります。富を再分配し、有効需要を創り出すという点において、この超過累進税率は非常に優れた制度だと思いますが、高額納税者にしてみれば頭の痛い仕組みです。
いずれにしても自分が実際に負担している税金の額がいくらなのか、その計算方法がどんなものなのか、世間・国会をにぎわす税制改正によってどの程度の影響を受けるのか。選挙権を有し、納税義務を果たす1人の国民として知っておいて損はないものと思います。
横浜の税理士 杉田卓也
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