横浜で税理士をお探しなら杉田卓也税理士事務所にお任せ下さい! 上場企業管理部門を経て独立開業した若手税理士がお客様目線の税務サポートを提供致します。

杉田卓也税理士事務所

〒232-0013 神奈川県横浜市南区山王町4-26-3 ストークビル秋山2階
横浜市営地下鉄 吉野町駅(横浜駅から10分)4番出口より徒歩1分

営業時間
9:00~17:00
定休日
土曜・日曜・祝日

保険は節税になるのか?

※ 以下掲載記事に関するメール等でのご相談はお受けしておりません。ご了承ください。

 

こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。

今回のテーマは、『保険は節税になるのか?』です。

 

 

 保険会社の露骨な節税商品に金融庁や国税当局から待った!がかかりました。当事務所では保険を節税対策として顧問先に勧めることは元々ありませんでしたが、保険販売に熱心だった税理士事務所さんでは営業方針の転換期となるのでしょうか。

そもそも、

「保険は節税になるので、未加入なら入っておくべき!」

こんな話を耳にすることは多いと思います。それは、保険料を損金にすることで会社の所得を減らし、法人税を下げることが出来る、という理屈からくる話です。

しかし、そんなに簡単に節税というキーワードに惑わさせて飛びついて良いものでしょうか?

じっくりとそのカラクリを検証してみたいと思います。

 

 例えば、オーナー社長の退職金を支払うために保険を使うケースがあります。

契約期間中の支払保険料は損金となりますが、一方で、満期時の受取保険金は益金となります。(意外にも、満期時の返戻保険金の取扱いを考えていない方が多く存在します。)

満期保険金の受取時に役員退職金を支給することで、受取保険金と役員退職金とを相殺し、満期時の法人税の増額を防ぐ、という手当てが想定されるでしょう。

 

 従って、毎年の保険料の支払いによって法人税を下げられるだけではなく、満期時においても役員退職金の支払いにより満期保険金相当額の収入が相殺されるため、法人税が発生せず、節税効果が非常に高い、と理解されるわけです。

 

 それでは、

保険に加入しない場合は、加入した場合よりも法人税が高くなるのでしょうか?

 

 

 結論を言えば、保険に加入してもしなくても、支払う法人税の「総額」は変わらないのです。

 

 どういうことなのか、先ほどの役員退職金を支払うケースを用いて説明します。

 

 保険に加入しなかった場合、毎年保険料の支払いはありませんので、加入ケースに比べて損金額が減り、支払う法人税は多くなります。

これは疑いの余地ないところですが、ポイントは役員退職金の支払時です。

役員退職金の支払時においては、保険に加入していないため、当然満期保険金はなく(益金はゼロ)、役員退職金のみ損金として発生します。

つまり、保険加入ケースと比べて、支払う法人税は大幅に少なくなります。

 

 例えば保険期間を10年間とすれば、1年目~9年目までは、保険加入ケースと比べて法人税が多くなり、最後10年目において、保険加入ケースと比べて法人税が少なくなる(9年目までの差額分を取り戻す)わけです。

 

 つまり、10年という期間のトータルでみれば、支払う法人税の「総額」は変わらず、変わるのは支払のタイミングだけ、ということになるのです。

(正確にはお金には時間的価値があり、その割引現在価値を考慮すれば、支払を後ろ倒しにするほうが有利だと考えるのが正論です。しかし、昨今の金利情勢においては、割引現在価値での比較論はほとんど意味がないでしょう。)

 

 例えば、保険料の支払いが資金繰りを圧迫するようなケースであれば、目先の法人税を下げるという目的のみで保険に加入することは、やめるべきと言えます。

節税効果は保険期間トータルで見れば、ゼロに等しいと考えられるため。)

 

 

 

 ここまで、保険による節税効果はないという趣旨で説明してきました。

ただし、それは継続企業を前提としたストーリーです。

 

もし、オーナー社長さんが事業承継をせずに、自分の代で会社をたたむことを前提にするとどうなるのでしょう?

 

 上記の例で示した10年目が会社の最終事業年度だと仮定します。そのタイミングで退職金を数千万円支払うと、会社の最終利益は赤字となるかもしれません。

会社の継続がないのだとすれば、赤字を使いきれずに終了してしまうことになりますので、節税の観点では損をしてしまうとも考えられます。

 

 これに対して、保険加入ケースにおいては、コツコツと保険料を損金算入することが退職金の分割計上と同等の効果を果たし、税金という名の資金流出を後ろ倒しにします。

そして、10年目の満期保険金と退職金を相殺するという出口戦略によって、取りこぼしなく終了できるのです。

 

 それならば、オーナー会社で、かつ、事業承継をしないケースにおいては、保険に加入した方が有利かというと、さらに考えなければならない問題点があります。

それは、法人税ではなく、社長サイドの所得税です。

(詳細は、オーナー会社の保険加入に潜む落とし穴?をご参照ください。)

 

 

 話が二転三転して混乱してしまうかもしれませんが、それだけケースバイケースで適用関係を慎重に考える必要があるのです。

保険加入=節税という短絡的な発想で片づけてはならない事柄だと考えます。

 

 

 保険加入に潜むデメリットを中心に記載してきた節があるので、以下に疑いの余地なくメリットだと言える点を補足しておきます。

 

①税金の支払いを後ろ倒しにすると同時に、万一に備えた保険効果を享受することが出来る。

 

②いわば割れない貯金箱にお金を貯めているかのような状態となり、退職金の支払原資を着実に確保することに繋がる。

(商品設計にもよりますが、利回りは少なくとも預金利息を超えることは確かでしょう。)

 

③社員がいる場合には、福利厚生制度として有効利用できる。

 

 

 

 以上すべての話を総括すると、節税という観点で保険を捉えるよりは、保険商品の持つリスクカバー効果・退職金支払原資の確保・福利厚生の充実といった目的設計が、今の会社にとって本当に必要なのかどうかによって保険加入を判断すべきではないでしょうか。

 

 至極当然のことだと言ってしまえばそれまでですが、保険を勧める営業担当者さんが(これまでは)節税メリットを強調するケースが多くありました。そんなときには、節税の話よりも、保険商品の詳しい説明(どんなリスクをカバーするための保険なのか、途中解約による元本割れが生じるのはどの程度の期間なのか、外貨建てならば為替リスクをどう位置づけるのか等)を入念にしてもらったほうが、実りある時間になるのかもしれません。

もっとも、従来の通達廃止により節税保険が淘汰されるのか、それともまたルールをかいくぐった新たな商品が開発されるのか、それは分かりません、、、。

 

 

 

 横浜の税理士 杉田卓也

代表税理士の画像

お問合せ・ご相談はこちら

顧問契約等のご依頼は、メールフォームにて受け付けております。

営業終了後でもメールでのお問合せにつきましては、24時間受け付けております。

※顧問契約ご依頼に対するご返答はメールにて迅速対応しておりますが、ごくまれに当事務所からのメールが届かない (or迷惑メールに入ってしまう)ことがあるとの報告を受けております。

返答がない場合には、お手数ですが再度ご連絡いただくか、迷惑メールフォルダのご確認・解除設定をお願い申し上げます。

営業時間:9:00~17:00
定休日:土曜・日曜・祝日