横浜で税理士をお探しなら杉田卓也税理士事務所にお任せ下さい! 上場企業管理部門を経て独立開業した若手税理士がお客様目線の税務サポートを提供致します。

杉田卓也税理士事務所

〒232-0013 神奈川県横浜市南区山王町4-26-3 ストークビル秋山2階
横浜市営地下鉄 吉野町駅(横浜駅から10分)4番出口より徒歩1分

営業時間
9:00~17:00
定休日
土曜・日曜・祝日

年収1,000万のサラリーマン VS 年商3,500万の自営業、手取りが多いのはどっち?

※ 以下掲載記事に関するメール等でのご相談はお受けしておりません。ご了承ください。

 

こんにちは!横浜の税理士、杉田卓也です。

今回のテーマは、『年収1,000万のサラリーマン VS 年商3,500万の自営業、手取りが多いのはどっち?』です。

 

 Aさんは大手企業に勤務し、年収1,000万円をもらう働きをしていました。仕事の内容に大きな不満があったわけではありませんが、いつか自分で商売を始めるのが夢でした。

その夢はサラリーマン生活のなかでどんどん膨らみ、とうとう抑えきれなくなりました。

 Aさんは妻を説得し、一念発起して会社を辞め、商売を始めることにしました。目の前に広がる無限の可能性に心を躍らせ、何としても成功してやると息巻いていましたが、現実は厳しく、なかなか売上は伸びません。

コストばかりが先行して資金繰りも苦しい状況が続きました。それでもサラリーマン時代に蓄えておいた貯金を切り崩して、なんとか事業を継続していきました。

 

 諦めずにトライアンドエラーを繰り返していくうちに、少しづつ風向きが変わってきました。一つのキッカケから状況が好転すると、売上がグングンと伸びていき、気づけば年間売上高3,500万円をたたき出すところまで来たのです。

この年の年間コストは2,500万円であり、所得ベースでは、ちょうど1,000万円(=売上3,500万円-コスト2,500万円)でした。

 

 ようやく軌道に乗ってきたなと胸をなでおろしていると、妻から「今年の所得は1,000万円まできたんだね、すごい頑張ったね! そういえば、こないだ内覧したマンションのアンケートに年収を書く欄があったけど、年収で言うと1,000万円っていうことになるのかな? アレ? ってことは、サラリーマン時代の年収と同じってこと?」と聞かれました。

 

 年商、つまり売上ベースでは3,500万円にも達していたこともあり、サラリーマン時代よりも儲けていると信じて疑わなかったAさんは、妻の質問に即答することが出来ませんでした。

 

 言われてみると、所得1,000万円なので、サラリーマンでいうところの年収1,000万円に相当するような気もします。しかし、税金や社会保険の計算方法はサラリーマン時代とはだいぶ違っているようだし、手取りベースでは同じとは言えないような、、、。

 

 Aさんはこれまで悪戦苦闘しながらも、自分で経理処理をして決算を組み、確定申告をしていました。近頃は、売上規模の拡大に伴って税金の負担額も大きくなってきたため、賢い節税策があれば実行したいという気持ちが芽生えていました。加えて、税金や経理まわりの処理に割く時間がもったいないと感じてきていたこともあり、ちょうど数日前に税理士と顧問契約を結んだところでした。

 

 さっそくAさんは顧問税理士に質問を投げかけます。

 

 「サラリーマン時代の年収1,000万円と今の所得1,000万円では、手取りで言うと、どちらが多いのでしょうか?」

 

 

 顧問税理士は早速検証を開始しました。

 

 前提条件:

 イ 年齢45歳男性、既婚(妻は専業主婦)

 ロ 年間所得1,000万円

 ハ 横浜市区町村の国民健康保険に加入

 ニ 国民年金を納付

 ホ サラリーマン時代:年収1,000万円、会社にて社会保険加入

 ※以下計算を単純化するため、復興特別所得税や住民税均等割・労働保険料等は少額無視する。

 

 

<サラリーマン時代>

① 額面給料:年間10,000,000円(月額給与の16ヶ月分とする)

 

② 社会保険料:年間1,488,000円

 

③ 所得税:年間712,900円(計算詳細は以下のとおり。)

 -給与所得-

 額面10,000,000円-給与所得控除1,950,000=8,050,000円

 -所得控除項目-

 社会保険料1,488,000円+配偶者控除380,000円+基礎控除480,000円=2,348,000円

 -課税所得-

 8,050,000円-2,348,000円=5,702,000円

 -所得税額-

 5,702,000円×20%-427,500円=712,900円(所得税最高税率:20%

 

④ 住民税:年間579,100円(計算詳細は以下のとおり。)

 -所得控除項目-

 社会保険料1,488,000円+配偶者控除330,000円+基礎控除430,000円=2,248,000円

 -課税所得-

 8,050,000円-2,248,000円=5,802,000円

 -住民税額-

 5,802,000円×10.025%-2,500円=579,100円(住民税率:10.025% 調整控除2,500円)

 

 

⑤ 手取り額:年間7,220,000円(=①-②-③-④)

 

 

 

<独立開業後>

① 所得:年間10,000,000円

 

② 社会保険料:年間1,344,000円(=国保950,000円+年金394,000円)

 

③ 所得税:年間1,007,500円(計算詳細は以下のとおり。)

 -事業所得-

 10,000,000円-青色申告特別控除650,000(※)=9,350,000円

 (※)電子申告による青色申告特別控除を適用

 -所得控除項目-

 社会保険料1,344,000円+配偶者控除380,000円+基礎控除480,000円=2,204,000円

 -課税所得-

 9,350,000円-2,204,000円=7,146,000円

 -所得税額-

 7,146,000円×23%-636,000円=1,007,500円(所得税最高税率:23%

 

④ 住民税:年間739,700円(計算詳細は以下のとおり。)

 -所得控除項目-

 社会保険料1,344,000円+配偶者控除330,000円+基礎控除430,000円=2,104,000円

 -課税所得-

 9,350,000-2,104,000円=7,246,000円

 -住民税額-

 7,246,000円×10.025%-2,500円=723,900円(住民税率:10.025% 調整控除2,500円)

 

⑤ 事業税:年間355,000円(計算詳細は以下のとおり。)

 -課税所得-

 9,350,000+青色申告特別控除不適用650,000円-事業主控除2,900,000=7,100,000円

 -事業税額-

 7,100,000円×5%=355,000円(事業税率:5%

 

 

⑥ 手取り額:年間6,553,800円(=①-②-③-④-⑤)

 

 

 

<サラリーマン時代と独立開業後の比較>

(Ⅰ) サラリーマン時代(年収1,000万円)の手取り額:7,220,000円

 

(Ⅱ) 独立開業後(所得1,000万円)の手取り額:6,553,800円

 

(Ⅲ) (Ⅱ)-(Ⅰ)=▲666,200円

 

 

 

 顧問税理士から告げられた事実は、「手取りではサラリーマン時代に比べて666,200円ほど少ないですね。」でした。

 

 

 

 Aさんは驚愕の結論に言葉が出ませんでした。しばらくして、顧問税理士に「なぜこんなにも差が出てしまうのですか?」と聞いてみました。

 

 顧問税理士は次のように答えました。

「サラリーマンには給与所得控除というみなし経費が認められていますので、税金は少なくなるのです。また、事業税もかかりません。」

 

 さらにどうやら将来の年金額についても、厚生年金と国民年金では受給額に差が生じるとのことです。(厚生年金の方が受給額は多くなります。)

 

 なんだかションボリしてしまったAさんに対して、顧問税理士はいくつかの節税策を提案しました。

 

「青色専従者給与の支給により、所得分散ができますので、世帯ベースでの税額を引き下げることが出来ますよ。当然ながら、奥様に実際に仕事に従事してもらう必要はありますが。」

 

「Aさんは賃貸マンションにお住まいでしたよね? ご自宅でも仕事をしているならば、自宅家賃や水道光熱費等の何割かを事業経費にすることができます。割合については何割までOKという基準はありませんので、合理的な説明ができる範囲内と考えてください。」

 

「確か先日ドライブが趣味だとお話しされていましたよね? 多少なりとも自家用車を仕事に使うことはありますか? 上記の家賃や水道光熱費と同じように、事業用に使用している実態を説明できるならば、自家用車の減価償却費の一部を事業経費にできます。その場合、ガソリン代や駐車場代、その他維持費なども対象となります。」

 

「小規模企業共済への加入を検討してみませんか?」

 

 

 Aさんは顧問税理士の話に耳を澄ませ、これまで自分で確定申告をしていた際には知らなかった色々な節税策があることに驚きました。と同時に、税務署の窓口の職員が節税策を何一つ教えてくれなかったことに腹を立てていました。

税務署員にそのような義務は一切ありませんので、完全なる逆恨みですが、、、。

 

 さらに、顧問税理士から次のような提案がありました。

「今後さらに売上が拡大し、業績が上向いていくのであれば、将来的には会社設立を検討してみてもいいかもしれません。メリット・デメリットを慎重に判断する必要がありますが、やるとなれば、出来得る節税策を諸々検討してみましょう。」

 

 Aさんは、税金という今までノーマークだったコストを下げることができるかもしれない可能性に触発され、今まで以上に仕事へのモチベーションを上げたのでした。

 

(注)上記計算上の給与所得控除額や基礎控除額については、2020年~の数値を採用しております。2020年を境とした変更点につきましては、2020年からスタートするサラリーマン増税とは?をご参照ください。

 

 

 

 横浜の税理士 杉田卓也

代表税理士の画像

お問合せ・ご相談はこちら

顧問契約等のご依頼は、メールフォームにて受け付けております。

営業終了後でもメールでのお問合せにつきましては、24時間受け付けております。

※顧問契約ご依頼に対するご返答はメールにて迅速対応しておりますが、ごくまれに当事務所からのメールが届かない (or迷惑メールに入ってしまう)ことがあるとの報告を受けております。

返答がない場合には、お手数ですが再度ご連絡いただくか、迷惑メールフォルダのご確認・解除設定をお願い申し上げます。

営業時間:9:00~17:00
定休日:土曜・日曜・祝日